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音楽関係の著書も色々ありますが、どんな本をお読みですか? 加古川フィルのバイオリン弾きの、〓 BookMaster.石田 〓が、「これは!」と思う本をご紹介します。あなたが本屋に立ち寄ったとき、ちょっと思い出して、それを手にとってもらえれば光栄です♪♪ もしかすると、その一瞬があなたの音楽の世界を変えるかも・・・・なんて。 〓 BookMaster.石田 〓は、とても気の利く、働き者の当団マネージャーです。私達が楽しいオケ・ライフが満喫できるように、鋭い眼光を発している『加古川フィルのパパ』です。また、演奏に対する感想を、まるで「ソムリエ」のようにあらわし、演奏者を和ませてくれます(*^.^*) |
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| book9:
『巨匠の肖像』
ワーグナーからガーシュインへ 海老澤 敏 著 / 中公文庫(\781)
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著者は、ご存じ国立音大の学長も務めた海老澤教授。モーツアルトの世界的研究者でもある。同じタイトルで「バッハからショパンまで」の2分冊からなる。本書では「西洋音楽史をそれぞれユニークな個性を際だたせて飾っている数々の巨匠たちの肖像を、私自身の観点から描いたものである」と著者自身があとがきで述べているように、数多く出版されている音楽史や作曲家伝記とはかなり趣の異なる切り口で、エッセイ風に巨匠たちの姿が描かれる。音楽家たちの人生の一こまを垣間見ることで、その時代の社会や政治、経済と連動して、彼らが生き、闘い、挑んでいったその活動の意味が、彼らの美しい響きの中に聞き取れるかも知れない。 本書の「ロシア国民学派の作曲家達の肖像」という章のなかに、「ボロディンの夢」という1節がある。要約してみると以下のようになる。 ボロディンが幼い頃から目立った楽才を示したことはよく知られているが、その彼はまた、自然科学、とりわけ化学に異常なほどの興味を示し、やがてその専門家の道を歩むことになる。彼は医大の薬学科を卒業し、また医学そのものも学ぶことによって、医師として、また医学関係の化学者として大成していく。だが、ボロディンは音楽の道も忘れることはなかった。アマチュア的音楽集団であるロシア5人組が結成される。バラキレフを中心に化学者のボロディン、陸軍士官から官吏に転身したムソルグスキー、海軍士官であったリムスキー・コルサコフといった教養ある人材が結集したこのグループは、ロシア国民音楽創造に大きな役割を果たしていく。 ボロディンはまた自身の本職の面でも産科課程の化学の教授に任じられ、教育の面でも研究の面でも重要な業績をあげ多忙をきわめていく。いきおい、作曲の仕事は休日に行うことになる。いわゆる<日曜作曲家>である。寸暇を惜しむなかで第二交響曲、歌劇イーゴリ公のような意欲作、大作が書かれていったのである。(MI) |
| book8:
『絶対音感』
最相葉月(さいしょうはづき)著 / 小学館文庫(\700)
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著者は、神戸で育ち、20代後半からフリーの編集者となった。本書は98年に出版されて大きな反響を呼び、小学館ノンフィクション大賞を受賞している。以前にもこの欄で絶対音感研究会による本を紹介したが、この種の書物が相次いで出版されていることからも、このテーマのもつ関心の広さ、奥深さを伺い知ることができる。 「絶対音感」・・そもそも曖昧であるはずの人間の感覚が「絶対」とは何なのか。その正体に迫るため、著者は、五嶋みどり、千住真里子、園田高弘、大友直人、佐渡裕、池辺晋一郎、矢野顕子・・など一流の音楽家や科学者など実に300人におよぶ人たちに取材を行っている。そこから得られた数々の証言から、その「絶対」なるものの曖昧さ、不安定さが検証され、そしてそれは「絶対音感」という言葉から徐々に離陸して「果たして音楽とは何なのか」という問いへと向かっていく。 指揮者は耳がいいといわれるが、「指揮者が音を聴くということは、結局オーケストラのメンバーが音を聴き合うということです」というのは佐渡裕。「オーケストラは日々感動するほど不思議なものです。一人一人が全力で集中すると全員の波長が合ってくる。もはや指揮者の手に合わせてという次元ではなくなるのです」というのは大友直人。音楽性とは何なのか、感動とは何なのか、その答えは結局心に帰する。だが心とはつかみどころのない宇宙であり、「音楽とは人類究極の謎である」というところへ行き着くことになる。「絶対音感」にいくらアプローチしても音楽の秘密など解くことはできないという事実、解きほぐせないことの魅力。人間の能力が深遠であることのすばらしさを改めて感じさせてくれる力作である。(MI) |
| book7:
『心に効くクラシック』
オーボエ吹きの楽隊帖 富田 隆 ・ 山本一太 共著 / 生活人新書 (NHK出版)
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「疲れたとき、落ち込んだとき、やる気を出したいとき..、自分の心に添うような音楽と香り高いコーヒーでもあれば、それは格好の精神安定剤です。」(本書より)。音楽の中でもとりわけクラシックが、聴く人に心理的効果をもたらすことが近年の心理学や大脳生理学の研究から明らかになってきている。本書は、クラシックが心に効くのはなぜかを探り、様々な心理状態に合う名曲を処方してあげましょう、という意図をもって書かれた本である。 著者の富田氏は駒沢女子大学教授で「認知心理学」が専門。本書第1部の「クラシック心理学講座」を執筆している。精神的に高い水準の癒しをカタルシスというが、心理学では、ネガティブな感情を何かで吐きだし清められること、「浄化」を指す。クラシックの作曲家や演奏家も仕事の過程である種の精神的高みに昇るという体験をしばしばしている。例えばベートーベンも、作曲しながら次第に高みに昇り詰め書き上げて清められるという典型のような曲作りをしている。それを奏く人も聴く人も作曲者とともに感動し高みに連れて行ってもらう。そういう体験をすることによって清められていくのである。 本書第2部は「心を癒す60の処方箋」。音楽を聴く人は、自分の気分にあった音楽を、またはある気分にさせてくれる音楽を、その時々の心理状態に応じて聴いているものだが、こんな気分の時にこんな曲はいかが..というすてきな60曲を選んでくれた。例をあげると、朝さわやかに目覚めたいときに・・カントルーブ「オーベルニュの歌」、しっとりとした情感にふれたいときに・・ヴィヴァルディ「スターバト・マーテル」、勇気と活力を与えられたいときに・・「マイスタージンガー第一幕への前奏曲」、といった具合。音楽ライターとして著名な山本氏の文章も楽しい。音楽で人生をますます豊かにしたいと思っているあなたにお薦めの一冊。(M.I) |
| book6:
『オーケストラは素敵だ』
オーボエ吹きの楽隊帖 茂木大輔著 / 音楽の友社 (\900)
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ご存じN響の主席オーボエ奏者であり、今ではエッセイの出版でも有名になった茂木大輔氏の初の著書。愛読者の方も多いと思われる。 第1部の「オーケストラの楽器たち」では、それぞれの楽器と奏者の織りなすオーケストラ模様が軽妙な語り口でつづられていく。読んでいると思わず吹き出してしまうので、電車の中で読むときは乗客の視線を浴びる覚悟が必要だ。 第2部の「オーボエ吹きのドイツ修行」では、ミュンヘン音楽大学へ留学した修業時代の体験と、その後の音楽家としての成長にどのように影響していったかが詳しく語られる。中でもヘルムート・リリンクの主催するバッハ・アンサンブルに参加してバッハの音楽に目覚めていく様子は、バロックを愛する私たちにとって大変示唆に富んでいる。その中の1節。ロ短調ミサ曲を、東欧の各都市で毎晩6日も演奏するツアーに参加して、「この、毎晩霊感の固まりのようになったリリンクとの演奏を体験するうちに、おれは発見した。演奏とは、繰り返しではない。作品の一番美しい姿は一つではない。一本の木が同じようでいて刻一刻姿を変えるように、作品の一番美しい姿も刻一刻変わっている。昨日のそれではなく、全く新しい姿を作品に付け加えることこそ、演奏の本当の意味だったのだ。」 第3部は「オーケストラ・メモランダム」。いくつかのエピソードから伝わってくるオーケストラ生活の苦労と喜び。アマオケの私たちにも共感できるところが少なくない。好評につき続編も出版されている。(M.I) |
| book5:
演奏が楽になる 音も良くなる
『ヴァイオリン体操』 神原泰三著 / 音楽の友社 (\1,800)
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著者は演奏家ではない。太極拳、気功、武道その他身体の動作に関する経験が豊富で、TVなどで健康体操を広く指導してきた。ふとしたきっかけからヴァイオリン奏者のための動作を研究し、雑誌「ストリングス」に連載したものをまとめたのがこの本である。セミナーやレッスンを通じて全国のヴァイオリン教室で反響を呼び、多くの体験が報告されているとのこと。 楽器の演奏は一種の身体運動である。スポーツ選手は体の調整に大変な注意を払っているが、演奏家の場合、演奏が精妙かつハードな身体運動でありながら、体のコンディションを整えることを軽視してきたきらいがある。職業傷害率の第1位はプロのオーケストラであるという「ヘルスマガジン」の調査結果も紹介されているが、中でも弦楽器奏者は首や肩、左手の負担が大きくて体を歪めやすいため、プロでなくてもあちこちに問題を抱えて苦心している人が案外多いものである。 本書では、演奏動作を支えている骨と骨格筋の構造から、演奏とは、指や腕だけで行われるものではなく、体全体のバランスによって支えられるものだと説く。そして、「構え方のテクニック」を磨くことによって、現実に演奏が楽になり音も良くなってくる。 快適に演奏するための構えの4大ポイントは、@首の構え(首が楽になる)A肩の構え(上半身が楽になる)B腰腹の構え(気力が高まる)C下肢の構え(上体と弓を安定させる)であり、これらを整えるためのエクササイズが詳しく解説されている。ボウイングを伸びやかにする基本は背すじを通すことにあり、背すじを強化し、柔らかくする方法や、肩が凝りやすい人、足腰の疲れやすい人向けの効果的な練習前後の3分間体操も紹介されている。 楽器からもっといい音を引き出したいと願っている方、何かピンとくるものがある方におすすめ。(MI) |
| book4:
『絶対音感をつける本』
絶対音感研究会編 / 双葉文庫 (\457)
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音楽を愛する私達にとって「絶対音感」と言う言葉には一種のあこがれをもった響きがある。しかし、それは本当に必要なものなのか、そしてそれは今からでも身につけられるのか、といった疑問に応えて、その功罪も併せて研究したのがこの本である。 絶対音感は、英語で「absolute pitch」と表現されるように、絶対的な音の高さを聴き分ける能力を意味するが、聴き分けた音に12音の音名をつける(ラベリング)作業が出来て初めて意味がある。つまり、絶対音感をもつ人は、殆どが平均率に沿ったものであるため、純粋に周波数の整数倍で成り立つ純正率に対して違和感が出易くなるという欠点がある。 オケの調音の基準となるA音(440Hz)なら「私だって..」といいたいところだが、この基準音は時代と場所によって変化し続けているのだ。日本のオーケストラの主流は442Hz。最近の世界のオーケストラの主流は442-446Hzで、中でもベルリンフィルとウイーンフィルが最も高いそうな。なぜ高くなっているのかは本書に譲るとして、この本では、胎児から幼児期までの音感教育の重要性と実際的な方法が詳しく解説されている。絶対音感は8歳ごろまでなら容易につけることが出来る。では、それを遙かに過ぎた私達にはもはや見込みはないのか。いや、方法はまだあるのである。詳しくは本書を読んでのお楽しみ。 小さいお子さんをお持ちで音感をつけさせたいと思っている方、または母親候補生の方、そして自分でも今以上に音感をつけてみたいと思っている方におすすめの一冊である。(M.I) |
| book3:
『新しいアンサンブル入門』
藤原義章著 / 春秋社 (1,500)
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著者はヴィオラ奏者であり、指揮者でもある。リズムの根元は時間のゆらぎにあるという観点から、メトロノームに頼る機械的リズムではなく、自然リズムでアンサンブルすることを提唱する。全てのリズムには大自然から受けた摂理があり、大自然と共に生きる人間もまたそのリズムの中で生きている。気持ちの高揚や解放からくるゆらぎの波で統一された演奏が安らぎと心地よさを与えるのだ、と説く。 一方、アマチュアのオーケストラにおいて楽しく充実したアンサンブルはどのようにしたら維持できるのか..。著者は、東京都響の創立に関与し、また、多くの市民オケを指導してきた経験から、次のように提言している。 @アマオケは、毎日のようにコンサートやリハーサルを繰り返すプロと違って、普通は月に3−4回が練習日に当てられる。従って、アマオケにとっては月数回の練習こそが活動の目的であり、いわゆる「本番」になるのではないか。その本番の積み重ねを発表する場がコンサートなのだ。つまり、コンサートだけが本番で、本番に参加すればよいということにはならないのだ。Aアマオケをスムーズに運営するためには、まず統一した約束事をそろえること。それにはメンバー全員が平等な立場と責任を自覚して、何かの仕事を受け持って支え合い、お互いの負担を軽減することである。B調和のとれた一体感のあるアンサンブルは没個性からではなく、一人一人の個性を尊重しあって均衡を保つところから始まる。 アンサンブルに深い関心をお持ちの方におすすめ。(M.I) |
| book2:
見聞塾「オーケストラの鼓動」
指揮者が明かすシンフォニーの現場 案内人 佐渡 裕 / ヴェネッセコーポレーシション刊 (\3,280)
副教材(ビデオテープ) : ショスタコーヴィッチ交響曲第5番 〜コンサートを前にした音作りの舞台裏〜
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見聞塾のコンセプトは生涯学習。本講座は、「クラシック音楽の中でも最も多彩でダイナミックな存在で、世界の音楽史上において最も巨大な演奏形態であるオーケストラにスポットを当て」(本文より)、その魅力を様々な角度から紹介しようと試みている。 まず第1章では、「指揮者とは」というテーマで二人の音楽専門家が深く切り込んでいく。指揮者は必要か、またオーケストラにとって指揮者とは何なのか、といったことを改めて考えさせてくれる。第2章は楽器の配置と役割についての解説。第3章では、現役の演奏家たちがそれぞれの楽器の特徴と聴かせどころを、こだわりも込めて語っている。第4章はオーケストラに焦点を当てた音楽史で、演奏会の選曲の際に参考になりそうだ。第5章はコンサートホールの音響の話。ホールの変遷と近年の動向についての解説は大変興味深い。巻末には佐渡裕氏と大江千里さん、矢野顕子さんとの対談もありで実に盛り沢山の内容である。 付録のビデオテープが圧巻で、ショスタコーヴィッチの第5交響曲のリハーサル風景を通して、佐渡裕氏による音づくりの現場がドラマチックに描かれている。 装丁もデザインも美しく、少々高価だが、オーケストラの一員である私達にとってもこれはまさに値打ちある一冊。(MI) |
| book1:
『弦楽器のしくみとメンテナンス』
マイスターのQ&A 佐々木 朗 著 / 音楽之友社刊 (\1,600)
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「弦楽器との付き合い方は人と同じです。 全ての楽器には長所と短所があり、その長所を伸ばすのも、短所を和らげてあげるのも本人次第です。 例え同じ楽器であっても、その楽器を理解して愛情を持って接している人には、よい音色が返ってくるでしょう。しかし楽器に対して不信感を持っている人には、決してよい音色は返ってきません。」(「はじめに」より)。 著者は筑波大学物理学科を中退してドイツに渡り、ヴァイオリン製作のマイスターになったという変わった経歴の持ち主である。 かって、 ロケット博士として著名な糸川英夫氏が科学者の目で弦楽器の音色の謎を解明しようとされたことがあるが、本書で著者は、弦楽器製作者という立場で、しかも技術系らしい科学的な測定や分析も行いながら、弦楽器の性能(機械的性能と音響特性)と音色との関係に迫ろうとしている。また、弦楽器の材料と役割、部品(駒、糸巻きなど)の取り扱い方、楽器の正しい手入れ法、よい楽器の選び方など、疑問や誤った常識について明快に答えてくれる。弦楽器愛好家必読の書。なお、著書のなかで紹介されているご自身の工房のホームページにアクセスすると、弦楽器についての更に詳しい研究レポートや数多くのQ&Aを読むことが出来て大変参考になる。第2巻(使いこなし編)も出版されている。 (MI) |